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徒然なるままに〜
<第5回>理由
理由を考える。色々なことについて。考えても「理由」と呼べるものに辿り着けないことも多いが、取り敢えず、理由を考える。
オクムラボートのスナイプとピアソンスナイプ。同じレーキ値で、その他もほぼ同じセッティングにしているのだが、どうしてもピアソンの方がウエザーヘルムが強く感じられる。私だけかもしれないが。取り敢えず、理由を考える。
オクムラボート(旧クラスルール)とピアソンボートではマストステップ位置の高さが違うので、マストの長さが違う。村井とオクムラが違うように。マストの長さの違いが何に影響するかを考えてみる。ピアソン用のマストの方がオクムラ用のに比べると数十道ミリ長い。紙に絵を描いてみる。マストを垂直に立てた場合、長さは違っても、その差の分だけ、マストステップの高さが違うので、マストトップの位置(高さ)は一緒。マストステップ位置を中心にしてコンパスで円を書いてやる。2つ。ピアソンの方が円の半径(マストの長さ)が長いので、大きな円となる。スターンデッキとトランサムの交点を中心として、適当に(実際のレーキ値6500mmくらいを縮尺して)円を書いてやる。その円とピアソンのマストの円の交点とオクムラのそれと比べてみる。ピアソンの方が、交点の位置がオクムラと比べて、上方後方に位置しているはずである。マストのプリベンド量やスターンデッキとトランサムの交点の位置の違いを考慮に入れずにシンプルに考えると、この交点の位置が意味するのは、同じレーキ値でセッティングした場合のピアソンとオクムラのセール位置の違いである。のではないかと考える。ならばピアソンの方が同じレーキ値でセッティングした場合でも、セールの位置が上方後方になるので、ウエザーヘルムが強くなる。というような理由を考える。
「オーバーヒールを入れて、パワーをつける」という表現を良く聞く。昔、私もよく口にしていたかもしれない、ごく一般的な表現。理由を考える。
オーバーヒールをつけると、ウエザーヘルムが増加する。ウエザーヘルムが増加することが、パワーがつく、ということなのか。解らない。微風時にセール自体の重みを利用してセールカーブを作る為にオーバーヒールを入れる。これは解る。でも微風時以外でも、「オーバーヒールを入れて、パワーをつける」という表現は使う。オーバーヒールを入れた状態でのセール上の風の流れを考えてみる。ヒールフラットの時は風は、ほぼ水平に引かれたトリムラインに沿って、ほぼ水平に流れていくのだろうが、オーバーヒールの状態であるとセールのラフから進入した風はトリムラインとは平行に流れずに、やや上方をカーブしながらリーチ上では、またトリムライン付近にて通過していくのでは、と考える。風はトリムラインに平行には流れずに、あくまで水面に平行に流れようとするはずだから。想像力がイマイチ働かないが、多分そうだろう。そうすると風の軌道が描く線は、トリムラインよりも深いカーブになるはずである。深いカーブを描いて風がながれるから、オーバーヒールを入れるとパワーがつく。そういう風に考える。自信がない。結局のところ、「オーバーヒールを入れて、パワーをつける」というのが本当なのかどうかがよく解らない。感じるヘルムの増加を“パワー”と勘違いしているのかもしれない。誰か答えを教えて欲しい。
「アビームでウイスカを張る」上マークからサイドマークへ、サイドマークから下マークへ、ウイスカが張れる条件であれば、ウイスカを張る。私はなるべく張る。角度がきつい時は張らない選手もいる。私は張れるなら張った方が速いと思っているので張る。張らない選手は張らない方が速いと思うから張らないのだろう。でも角度がそんなにきつくない時は皆張る。ウイスカを張る方が速いと皆が思っているからであろうし、実際に張った方が速い。なぜウイスカを張った方が速いのか。セール面積は変わらないのに。物理的にどう説明されるのか理由を考えてみる。私の頭脳では分からない。いや、理由を解明しようと突っ込んで調べる前に「結果は張った方が速いに決まっているんだから、理由なんてわかんなくてもいいか」と思って、考えるのをやめてしまう。でもその理由を理解できれば、ベストなウイスカの張り方、ベストなアビームのハンドリング、ベストなスピードの実現に近づく手段を見つける事が出来るかもしれない。誰か代わりに考えて。
そういう風にいろいろ理由を考えてみる。答えはなかなか見つからないが。なぜ私はセーリング競技を続けているのか。なぜスナイプに乗り続けているのか。なぜ世界中で戦争は絶えないのか。なぜ人類は存在しているのか。なぜオランダはヨーロッパ予選で敗退してしまったのか。なぜ…。
しょーもないことを考えて、人生の貴重な時間を浪費していく。結構長い時間を浪費していく。そして、なぜ理由を考えるのだろう、と考える。答えは一つ、勝ちたいからである。勝ちたい人は考えよう。
付録〜セール広島に参加して>
6月15〜16日、セール広島というレースに参加しました。参加選手には昨年の全日本スナイプで優勝された本田技研熊本所属の高村さん・丸山さんペアを始め、かなりハイレベルはメンバーが集合しました。中四国地方を中心とした学生も多数参加していましたが、レースの結果を見ると、社会人と学生の差が余りにも大きすぎ、シングルでフィニッシュ出来る学生ペアは殆どいませんでした。がんばれ、学生!。全日本インカレで上位を狙う実力校であれば、こういったオープンレースでは参加する社会人のレベルが高くても必ず優勝争いに絡んできます。毎年博多で行われる西日本ウィークでの福岡大学がそうですし、琵琶湖水域の学生が強かった時の同志社WEEKでもそうでした。今回の結果を見て、社会人ペアとの差を見て、「僕たち学生だから、しょーがない」と思ったら駄目ですよ。社会人ペアと競り合えるぐらいにならないとインカレでも前を走れません。それくらい全日本インカレのレベルは高いと思います。卒業してからは一回も出場した事はないですが。当然か。
ただ結果が示すとおり、社会人と学生に実力差があったのは事実。問題はその差を埋める為のアクションをその場でとったかどうかです。
高村さん・丸山さんペアのジブセールは何モデル?メインは何モデル?フォアステーの取付位置は何番目?サイドステーの取付位置は何番目?スプレッダーの長さはどれくらい?マストは何?マストロープはどれくらいきつく結んでいるのだろう?アウトホールはどれくらい引いているのだろう?ジブリーダーはどの辺を使っているのだろう?この風速ではカニンガムをどれくらい引いているのかな?デッキレベルのマスト前後位置はどの辺?この風でこの波だったら乗艇位置はどの辺?メインシートはどこまで引込めているのだろう?ティラーを持つ手はエクステンションのどの辺を持っているのだろう?ジブタックは引いているのかな?トラベラーは使っているのかな?自分との違いは何?
海上で見る事も出来るし、陸上で聞く事も出来る。そんな近くに自分より圧倒的な速さを身につけた選手が来ているのだから、どんどん観察して、聞きたい事があったらどんどん質問してみるべき。恥は掻き捨て。大会側に準備された講習会だけで質問しようなんて甘い考えではダメダメ。知りたい、勝ちたい、上手くなりたい、という気持ちがあるのであれば、速い人の技を盗むのが一番手っ取り早い。ただし、聞いても教えてくれるとは限りませんが…。いや、きっと皆教えてくれるはず。スナイプを愛する人は良い人ばかりだから。多分。ベッカムを追い回している女の子達の熱意を少しは見習って、どんどんアタックしてみよう。
広島の地に集まった学生達の中で、何人がそういった行動を取れたのか?チャンスはそんなに無いですよ。
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