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徒然なるままに〜
<第2回>私達の今のセッティング
前回のフォアステーの取付位置に引き続いて、ジブセールの高さについてでも書こうかな〜と考えていたのですが、どうも話題が地味なものが続くので、ちょっと今回は避けます。
結局のところ、この記事を読んで下さる方は「それでお前は実際どんなセッティングしてんねん?」とイライラされているかもしれないと思い、現状の私達の大まかなセッティングをお伝えしようと思います。
私達ペアは贅沢な話なのですが、練習できる艇が2種類あります。オクムラボートとピアソンスナイプです。オクムラボート社製の方は95年の冬に購入し、艇番は28972。ピアソンは97年春に納入してもらい、艇番は29150。私は95年に今の会社に入社し、実業団セーラーとしての活動を始めたのですが、その年は会社クラブ既存の艇に乗って、地方レースなどの結果はボロボロでした。そこで「ヨットは道具!」と自分で確信して、貯金を全部使ってオクムラボートさんに艇を作ってもらいました。とは言っても、入社1年目のサラリーマンでしたから、頭金しか支払うことが出来ず、残りは艇を受け取ってから会社に泣きついて払ってもらいました。ピアソンボートは、97年の世界選手権に出場するのに、予算の制限から“自艇をコンテナで持っていくか”もしくは“現地チャーターならピアソンだから、練習用にピアソンを買うか”という選択肢に限られた為に、貧乏性の私は迷わず後に物が残る後者を選びました。本当はピアソンを買って、それをそのままコンテナで輸送したかったのですが…。
という訳で、今もその2艇を使い分けて練習し、各種のレースに参加しております。その使い分け方は、国内レース(全日本スナイプ)を目標とするシーズンは、オクムラ。海外レース(世界選手権・西半球選手権)を目標とするシーズンは、ピアソン。理由は、(同じ道具を使って負ける訳がないし、負ける訳にはいかない!)という根拠のない自信を基にした考えを持っているからです。国内レースで参加する艇は、殆どがオクムラ製、海外レースではピアソンが主流です。オクムラとピアソンは同じスナイプではありますが、デザインやバランス等の違いにより、一長一短があります。海面がオクムラが得意なコンディションであれば、どうしてもピアソンで走り負ける時がありますし、ピアソンが得意な風域であれば、オクムラではどうしても付いていけない、と感じる場面が多々ありました。それは私達ペアの技術が足りないから感じることかもしれませんが、同じ道具を使うならば、そんなことに気を悩ませなくても良い。ですので国内レースはオクムラ、海外レースはピアソンを使います。と言っても、お金が無いので海外レースは全部チャーターですが…。
そういった感じでレース活動に取り組んで、今までの全日本での結果は下表のとおり。
年度
練習艇種
目標とするレース
全日本出場艇種
全日本結果
‘96
オクムラ
全日本(蒲郡)
オクムラ
1位
‘97
ピアソン
ワールド(サンディエゴ)
オクムラ
惨敗
‘98
ピアソン
全日本(姫路)
ピアソン
惨敗
‘99
オクムラ
全日本(牛窓)
オクムラ
1位
‘00
ピアソン
西半球(アルゼンチン)
オクムラ
惨敗
‘01
オクムラ
全日本(境港)
オクムラ
2位
‘02
ピアソン
西半球(ロングビーチ)
未定
国際レースの結果は書きません。悲しくなるから。全日本の結果だけを見てもらうと、良い時と悪い時の差があり、成績に安定感が無いように感じられると思いますが、全日本を目標と掲げた4回の内、2回の優勝と1回の2位。惨敗した1回(98年の姫路)は、何をトチ狂ったのか、ピアソンで出場してしまいました。別に自分達ペアの自慢をしたい訳ではありませんが、この結果が、目標に対するアプローチの仕方が間違っていないのかな?と思える根拠となっているので、紹介させて頂きました。
ただ、私達ペアの最終目的は、世界選手権や西半球で結果を残すことでありますので、全日本を目標としているシーズンも、目的は優勝ではなくて、次年度国際レースの参加資格を得ることです。ですので、国際レースの結果から考えると、最終目的へのアプローチは間違っているのかもしれません。
前振りが長くなりましたが、まずはオクムラボート。フォアステーは前回も述べたとおり、一番前。サイドステーはチェーンプレートの前から3番目。これは特に物理的理由はありません。今まで使ってみた中で一番良いかな?と感じているので。マストステップは当然、ルールの許す一番前。マストはプロクターミラクル。マストヒールの前縁をプリベンドを出す為に少し削っています。スプレッダーの長さは、覚えてません。確か、以前ノースセールのサンディエゴのホームページで、ブラジルのマウリシオ・サンタクルズが掲載していた長さと一緒のはず。スプレッダーのディフレクションは、角度を制限する為のボルトを付けていませんのでミニマムの値だと思います。サイドステー、フォアステーのテンションは、測ったことがありません。テンションゲージを持っていないから。シュラウドレーキとレーキの差でリグテンションの強弱を判断します。順風以下でしたら、シュラウドレーキが6400mmからレーキを6520mmくらいまでテンションをかける。10m/s以上の風になればシュラウドを6350mmくらいにし、レーキは6470mmくらい。セールはノースセールで、ジブがN4、メインがV−9。しかし、このセッティングには自信がありません。まず昨年は余りスナイプの練習に割く時間が無かったので、チューニングは余り気にしていなかったし、実際に全日本でもスベリはイマイチだったので、信用されない方が良いと思います。
今年は9月の西半球選手権に向けた活動をしておりますので、ピアソンで練習しています。ピアソンのセッティングは、はっきり言って、ブラジルのアレクサンドロ・パラデダのセッティングを丸々真似ております。興味のある方は、ノースセール(アメリカ)のホームページを見て下さい。英語を読むのは大変だけど。セールは同じくノースセールで、今のところは、ジブはBR-1D、メインはV-9。これからAP-3とかラジアルカットのモデルを試すところです。チャーター艇でのレースに参加する場合には、勝手にセールのタイプを決めても、マストが思っているのと違えば全然変わってきますので、広い選択範囲を持っておかなくてはなりません。学生なんかは最近のインカレはチャーター艇方式を採用されているようなので、優勝を狙うようなチームならば、ある程度の深さを持ったオールラウンドなものと、浅めのものと、2種類くらいのメインセールは準備しておきたいものですね。マストはサイドワインダー(固い方)とプロクターミラクルを持っていますが、普段はプロクターを使っています。柔らかいマストの方が好きなので。ただし、本番の事前にチャーターしてもらえるマストが固い種類のものと判明すれば、サイドワインダーで練習するつもりです。ちなみに私達ペアの体重は、ふたりで135kgくらい。
こんな風に書くと、セールメーカーのチューニングガイドの真似ばっかりで、特に何も考ていないように受け取られると思いますが、ヨットレースで結果を残す為には、チューニング以外の要素も沢山あります。言うなれば、チューニング以外の要素の方が遥かに多いでしょう。国内でチューニングの差によって、「あの人には全然叶いませ〜ん」というような選手は今のところいないし、海外に出てもチューニングでは差を感じません。もしもそんなに速い艇がいれば、その場で真似したら良いと考えています。ですので、チューニングを考慮する時間は余り作らずに、それ以外に時間を割くようにしております。サラリーマン選手は持ち時間も限られておりますので…。そんなことを書くと、誰もチューニングに興味を無くされて、このページも読んでもらえなくなるのでしょうか?
という訳で、長々と書きましたが、私達ペアのオクムラとピアソンでのチューニングの違いを比べて頂ければ、全然違うのが分かって頂けると思います。その違いについては、また次回以降で。
それでは。
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