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徒然なるままに〜

<第13回>強風克服

 

今年の全日本スナイプが終りました。台風15号の影響で、4レースしか実施できませんでしたが、久々の強風オンリーのシリーズとなりました。ど強風&超ロングレグが、選手達に極限までの技術と体力を要求しました。選手及び運営の皆様、御疲れさまでした…。おっと、このままだとまたレース報告だけで『チューニング講座』から離れてしまうので、今回の御題は“強風克服”とし、強風下でのクローズホールドについて。

強風で速い奴がやっぱり一番カッコイイ。ハイクアウトを美学とする、一種の宗教スナイプクラス。オンデッキや下デッキの風で勝っても、真の勝利ではありません。さあ皆さん、ハイクアウトが地獄の苦しみを与えてくれる、沈をして海水浴をするかもしれない、マストが折れて思わぬ出費が発生するかもしれない、そんな楽しい楽しい強風を克服しましょう。

日本スナイプ協会ホームページの掲示板に投稿される質問も、強風のクローズホールドに関係のものが一番多いです。皆さんが一番感心のあることなのでしょう。私が思うに、強風で速くなる一番の秘訣は“練習量”です。こう断言してしまうと、この記事も読まずに練習していれば良い、ということになるので辛いのですが、やっぱり練習量が技術に比例していると思うのです。グダグダ理論をこねくり回す前に、まずは海に出ろ!っていうところです。強風下での練習が殆ど出来ない琵琶湖で活動している私が言うのも変な話ですけどね。という訳で、ちょっとだけ理論をこねくり回してみましょう。

 

[チューニング・セッティング]

強風下でのチューニングの方法は色々照会されていると思います。サイドステーを詰める、マストを後傾させる、プリベンドを増やす、スプレッダーを短くする、フォアテンションを上げる、ジブハリを緩める、等々。

私は最近、強風用のチューニングっていうのを準備していません。風が上がったからってピンを詰めたり、スプレッダーの角度を変えたりはしていません。何故か?って、琵琶湖でそれを試す風が吹かないんですもの。あ〜琵琶湖ってツマンナイ。

クローズホールドにおいて、私の場合、順風域のチューニングをそのままにして、バングシーティングだけで、ある程度の風域までカバーします。

まずはメインセールのフット部分を浅くする為に、タックロープをカンカンに絞めて、アウトホールをブラックバンド一杯まで引きます。

カニンガムは、ドラフト位置がコードの中心に来るように引いてやります。メインセールを逃がすような風域になれば、カニンガムは引けるところまで目一杯引いているでしょう。ドラフトの位置が分かり難い場合は、セールを発注する時にトリムラインを入れてもらえば、見やすくなります。

バングは、ヒールが起こせるようになるまでセールを浅くするように引いてやります。バングを引き過ぎないようにするのが一つのポイントです。引き過ぎた状態では、セールが浅くなり過ぎ、リーチも閉じてしまうので失速の一番の原因となります。軽くスピードリンクル(マストのブラケット付近からタックに掛けて斜めに入るシワ)が入ったところで、それ以上バングは引きません。それ以上引くと、所謂オーバーベンドの状態になってしまいます。直ぐにスピードリンクルが出てしまう場合は、スプレッダーのディフレクションが閉じ過ぎているか、メインセールが浅すぎるか、どちらかの可能性が高いと思います。マストのマックスベンドの量が、セールデザインと適合していないということです。

ジブリーダーは、波にもよりますが、メインセールを風下に逃がすようになれば後方に動かします。ジブのリーチをオープンにし、スロットルのエリアを確保する為です。最近のメインセールは、ジブトップが見えるようにウィンドウを付けたものがオーダーできます。そこで見て、ジブのリーチがスプレッダー先端に来るぐらいまで引込んでやります。それでもジブが深すぎると感じれば、リーダーを更に後ろに下げ、ジブリーチが同じところにくるくらいまで引いてやります。

ここまでやって、まだオーバーパワーを感じるようであれば、マストのデッキレベルでの前後位置を15mm程度前方にしてやります。フォアプラーを引くことにより、フォアテンションが緩くなります。しかしバングを更に引くことにより、そのテンションロスを解消し、マストをローベンドさせ、メインの揚力中心を下方に移動させることが出来る。またマストデッキレベル位置が前方に行くので、セールの揚力がボートに伝わるポイントが前方に若干移動する。つまりウエザーヘルムの削減が出来ると考えているからです。本当かな?。

あとはハイクアウトをガンガンで、メイントリムをバンバンするだけ。トラベラーシステムは今のところ使用しておりません。というか元々付けていない。トラベラーを使った方が速いかな〜という瞬間はあるのですが、アップウインドレグのトータルでは、メインシートを常にトリムすることが一番速いと考えているので、途中でそのトリムを止めてしまうようなシステムは必要なし。ですので、メインシート用のカムクリートも使用しません。それでメイントリムがきつくなれば、トレーニングで筋持久力を向上させるだけです。年を重ねてトレーニング自体がきつくなったら、トラベラーやメンカムを付けてみようかな〜と考えています。そろそろ、そういう年ですけどね。

強風下のチューニングを考える場合に、殆どの人がマストを後傾させて、ヒールモーメントを減らそうとされます。しかしながら、マストを後傾させ過ぎると、当然ながらウエザーヘルムが増加します。その増加したヘルムはスピードを出す為には余り良いものではありません。私はパワーダウンするには、まずセールを浅くし、トリムで風を逃がしてやることに出来る限り努力します。チューニングでヒールモーメントを減らすのは、簡単で楽なのですが、速くなかったら意味が無いんですよね。でも色んな手段があるので、自分なりに色々試して、自分なりのスタイルを作っていけば良いかと思います。所詮、私は琵琶湖セーラーですから。

 

[ハンドリング]

ハンドリングについては以前も述べたことがありますが、ここでは強風に限定します。クローズホールドで、まず有りがちな失敗は、のぼり角度を詰めすぎてしまうこと。ジブのテルテールは、風上も風下も出来る限り綺麗に流れるようにボートの角度を持っていきます。ジブセールに裏風を入れることは、非常に簡単にヒールを殺してくれます。しかしながら、同時にスピードも効果的に殺してくれます。スナイプは、この辺の感覚が認識し辛い艇種です。レーザー等のシングルハンドに乗ってみると、角度の詰めすぎによる失速がよく分かります。角度を詰めるのは“誤魔化し”に過ぎません。セッティング・ハイクアウト・メイントリムにより、この誤魔化しの時間を最小限に抑える努力がトップスピードの継続を実現してくれます。

メイントリムについては“出来る限りブームを中央まで引き込む努力をし続ける”。一文で書くと、こんな感じです。あと5cmメインシートを引いてもヒールは変わらない。そんな場面が強風下ではよくあります。その時に、その5cmを引けるかどうかが上り角度に影響してきます。どんなに疲れていても、常にブームを引込もうと意識してみて下さい。

またブローに入った時、そのインパクトの逃がし方に意識して練習してみて下さい。強烈なブローが入った瞬間、それに合わせてメインシート出してやりますが、多くの選手はそのまま出しっぱなしの時間が長すぎると思うのです。多くの場合、ブローに入った瞬間の、その一瞬だけ風を逃してやれば、その後の同じブローの中でもメインセールが引込めるはずです。

またメインセールを逃がすタイミングも遅すぎてはいけません。今から入ってくるブローを、スキッパーが自分で見るか、クルーがインフォメーションするかにより、常にケアしなくてはなりません。このメインセールを逃がすタイミングが遅すぎると、必要以上にメインシートを出さないといけなくなるからです。

波高が高くなっている場合には、波に上っていくときに艇角度を上らせる、下っていくときに落とす、というのが基本です。このときにも、ちゃんとメイントリムを合わせないといけません。また大きなウネリがある場合には、ウネリの上と下とで風速差が発生するので、そのリズムを掴んでハンドリングしなくてはなりません。肉体的には非常にキツイですが、このコツを身に付ければ、角度・スピードともゲインすることが出来るでしょう。

 

スナイプ級には、マストも色々な種類があり、セールも色々なタイプがあります。ですので、私の紹介する方法が全てのスナイプに当てはまる訳ではありません。だから、自分自身で『強風では、このセールシェイプだ!』っていうのを確立しなくてはなりません。結局、この部分が非常に大切なのですが、文章や口頭では伝えられないところです。皆さんの視覚と感覚と記憶に委ねられます。

強風下の練習で、非常に肉体的に辛いときに、しっかりと思考回路を働かせて、自分のセールシェイプを見て、バング・カニンガム・アウトホール・トラベラー等を変えてみて、変えた後の感触と、その時のシェイプを覚えていく。そういった練習の繰り返しだけが、スピードの向上を助けてくれます。ハイクアウトに一生懸命で、何も考えず歯を食いしばっているだけじゃ駄目です。

 

最後に、一番大事なのは、同じ気持ちでハードにハイクアウトしてくれるパートナーを見つけることだと思います。そして、その日の練習やレースの後に、お互いの健闘を称え合うこと。冷めた相棒とじゃあ、つまらないでしょ。

 

【付録@】〜全日本スナイプ in 江ノ島〜

いや〜、またやられちゃいましたね、学生に。ワールドでトップフィニッシュの宮口・小林組に続いて、今回は福岡大学の加原・上田組に、優勝を持って行かれちゃいました。まあ今回はレース前から、そんな気配を感じてたんですけどね。学連強化担当理事としては、強化策が成功した結果として、非常に喜ばしい限りです。良かった、良かった。でも、大人達も頑張って下さいね。長くやっているだけが取り柄なんだから、学生なんかに負けたら駄目ですよ!(私自身に言っている言葉です。決して特定の実業団の方に対してのものではありません)。

今年の全日本スナイプは、超久々の強風オンリーレースでした。台風の影響による風速10m/s前後の風と、ショートコースに慣れた学生や老体に鞭を打って出艇した社会人にとっては余りに遠すぎる上マークは、あと一歩で選手全員をヨット嫌いにさせるまで追込んでくれました。選手および運営の皆様、本当に御疲れさまでした。

今年の全日本スナイプは、久々の強風シリーズということで、非常に面白いスコアのつき方となりました。上位陣が全然変わらないんです。7位の内田夫妻までが、平均点をシングルに抑えています。過去最近の結果からすると、十分に優勝争いをしているスコアです。強風になると、実力差がキッチリと全レースに現れるっていうことですね。裏返すと、強風が得意になれば、その風域のレースでは確実にスコアが計算できるということです。そう考えると、やっぱり強風の練習して、得意にならないといけないですね。

私としましては、8月のワールドで燃え尽きてしまっていたのと、その直前に傷めた腰を癒す為に、何のトレーニングも心の準備もしてなかったので、今回のレースは疲れ過ぎてしまいました。バッタンキューです。やっぱり強風は体力ですね。

今回は、前年までと同様にオクムラボートで出場しました。『クローズがピアソンより多少遅くとも、フリーの速さで全艇ブッチ抜きさ!』と考えていたのですが、クローズは調子良くて、フリーはブチ抜かれまくりでした。近年、連続で国際レースに出場しているので、オクムラで全然練習しておらず、いつのまにかピアソンの方が“乗り慣れたボート”になってたみたいです。でも強風のフリーでこれだけ抜かれたのは初めて。やっぱり廻りの皆もどんどん速くなっているな〜と思いました。取り残されないように練習を頑張らなくっちゃ。

体力的にも十分ではなかったので、思考回路が正常に働きませんでした。思考がクリアじゃないので、余計な720°回転をしたり、抜かれなくても良いところで抜かれたりと、無駄な失点が多かったな〜と思います。反省。

それでも結果が良かったのは、どんな強風でも元気満点、故障知らずのパートナーのお陰ですね。

実は、私達の今回の目標は『全レース、全マークをトップで廻ろう!』としていました。参加された選手の皆さんには失礼な目標かと思います。ですが、ワールドで優勝しようと思えば、それくらい出来ても良いでしょう、と思ったからです。この目標は、2レース目の第一マークで早速果たせないものとなりました。当然ですね。しかも、この目標は第一レースのスタート10分前に決めたんですから。

全日本スナイプは、昨年から今年にかけて、ピアソンが多くを占めるようになりました。世界で主流となっているボートが、この国でも主流となりつつあります。以前は、同じピアソンでの練習やレースでの相手が少なくて、比較しながらポテンシャルを高める作業がし辛かったのですが、ここまで増えてくれると、世界に向けた練習もしやすくて嬉しい限りです。ですが、なるべく私は全日本へはオクムラで出続けたい。日本一を決めるレースは、日本のボートで!と思うからです。ですから、日本のビルダーさんも海外のボートに負けないように頑張って良い艇を作って下さい。よろしくお願い致します。と書きながら、きっと来年は先日やっとスウェーデンからの長旅から到着したスキッパースナイプちゃんに乗ると思います。格好良いんだ、これが。

それにしても、優勝した加原・上田組はスゴイです。現役の学生としては本当に久々です。何がスゴイって、加原君の恐い顔。冗談です。加原君の恐い顔と反比例した礼儀正い性格。またまた冗談です。加原・上田組の強風下でのスピード、冷静な判断力、レース後も余りきっているだろう体力。すばらしいですね。私達もレースの終盤やフィニッシュ直前で抜かれてしまったレースが度々ありました。レース後半に、私の疲労した身体には、加原君の恐い顔に対抗する力は残っていませんでした。乾杯です…。じゃなくて、完敗です。学生に負けたショックで、私もオヤジギャグが出るようになってしまいました。

加原・上田組以外にも、日本大学の板垣・大井組も実力があるところを見せてくれました。最終レグで沈をしながらもシングルでフィニッシュしてくるのですから、強風下での実力があるのでしょう。でも実力がある選手は沈しないけどね。

やはり、福岡大学や日本大学といったインカレで毎年優勝を狙っているチームの選手は、非常に高いレベルにあると思います。全日本でも十分に通用するどころか、優勝を持って行ってしまいましたし…。ですが、その他の大学がついて行けてないですね。インカレ個戦の結果も、それを忠実に示していると思います。じゃあ、何が違うかって?。それはやっぱり気持ちです。毎年優勝を争うところは、異常なくらいに勝利に拘っているし、異常なくらいに敗北を拒んでいる。『気持ちは変わらないよ!』と思っている、あなたの数倍くらい、彼等は勝利を欲している。加原君の恐い顔を見て、そんなことを感じました。加原君、冗談です。怒らないで下さい。

台風で待機している間やレセプションの時に、沢山の学生が私に教えを求めにやってきました。私もそろそろブッダの気分です。ですが、なにも為になることを御話できず、この場を御借りしてお詫び申し上げます。こんな講座を書きながら、そろそろ廻りにも“実は何も知らない気合だけの奴”っていうのがバレつつあります。全部バレる前に、この連載もやめようかな。

取り敢えず、学生さんにつきましては、もうすぐ全日本インカレが始まります。この国におけるインカレというヨットレースは、ある意味、全日本スナイプよりも、全日本470よりも盛り上がる。どんなキールボートのレースよりも、もしかしたらオリンピックよりも盛り上がる大会ではないでしょうか。出る選手も、出ない選手も、どんどん盛り上げて、どんどん盛り上がって、いつまでも記憶に残るレースにして下さい。

今回、来年の西半球選手権(ブラジル)への出場権を獲得した選手の皆さん、一緒に頑張りましょう。再来年の蒲郡ワールドに向けても、西半球で前を走って、日本のスナイプを盛り上げなくてはなりません。アメリカや南米の連中をケチョンケチョンにしてやりましょう。私は短気なので、再来年まで待てません。というか、再来年のワールドに出れるとは限りませんからね。それに日本のホームで勝つよりも、海外のアウェーで勝つ方がカッコイイしね。

がんばれ〜、ニッポン。

 

【付録A】〜西宮インカレプレビュー〜

さあ、近づいてきました全日本インカレ。今年はどの大学が優勝するのでしょう?。そんなことを書く気は全然ありません。インカレは、筋書きのないドラマだから…、なんてね。ここでは、西宮に来られる選手や応援の皆様に、西宮の便利でもない、無駄な情報をお伝えします。だって私は西宮市民。会場の新西宮ヨットハーバーまで自転車で15分のところに住んでいるのですもの。

新西宮ヨットハーバーは、かなり綺麗なデートスポットです。クラブハウスには、カフェやレストラン、マリングッズのショップなどが入っています。ノースセールのショップもあるので、ヘリーハンセンしかヨットっぽい服を買えない地方の学生には、うれしいかもしれません。ヨットのパーツ類も販売しているので、ある程度のものはここで揃うと思います。安売りはしてないけどね。

学連ヨッインカレの会場となるのは、ハーバーの一番東側で、中央および西側のおしゃれなゾーンとは隔離されており、ト部の汚らしさが一般客の視界に入らないように配慮されております。

ハーバーに面した芝生のゾーンには、週末になると近くの家族連れがバーベキューなどを楽しみに大勢集ってきます。早朝には、このエリアに高級ワンちゃんを引き連れた、芦屋近辺のトップブリーダー達が集結します。如何にも金が掛かってそうなワンちゃんの集りは、ここ以外では余りお目にかかれません。

クラブハウス一階のカフェで、ランチを楽しんでみるもの良いでしょう。一件高そうですが、日替わりランチはオススメ。海側に面したウッドデッキのオープンスペースでは、ジンギスカンも楽しめますが、値段の割には量がそんなに多くないので、学生さんには物足りないかも。インカレで優勝したら、監督やOBにおねだりしましょう。かの有名なヨットマン、堀江健一さんに会えるかも。

ハーバーの前には、コープや御弁当屋さん、パン屋さんもあります。パン屋さんは私の奥さんもお気に入りです。この辺で御弁当を買って、観覧艇に持ちこんだり、芝生でピクニックを楽しみながら、母校の健闘を願いながら、選手の帰りを待つのも良いでしょう。

中華料理屋さんなども並んでますので、ハーバーのレストランが一杯でも、この辺で食事が出来ます。オーダーしてから料理が来るまでが遅いですけど。

この他に、郵便局や病院もあるので、何かあればクラブハウスの受付の人に聞いてみましょう。親切なので、なんでも教えてくれるはずです。

ハーバーは、島のような埋め立て地の南端に位置しています。ハーバーの廻りのショッピングエリア以外は、マンション郡と工業地帯になっていますので、特に見るところはありません。高速道路降り口の近くに、オシャレなカフェレストランがあり、そこのランチが評判ですが、私は余りオススメしません。小奇麗なだけで、料理が少ないから。

という訳で、島を出ましょう。車で出るなら大きな橋がありますが、徒歩や自転車でしたら、その西側に開閉式の小橋がありますので、そちらを渡るのも乙な物です。ハーバーのクラブハウス正面の道を真っ直ぐ北に向かえば、その橋が見えてきますが、時間があるならハーバーの桟橋の通りを西に向かい、島の西側をくるっと廻って行きましょう。そこからは対岸の芦屋のマンション群や、夙川の河口、芦屋ビーチ、六甲山の風景が広がっています。入部以来、気になっている女子マネージャーを散歩に誘ってみては如何でしょうか。

車で西宮大橋を渡り、島から出ると、右側(東側)が甲子園・大阪方面、左側(西側)が芦屋・神戸方面です。大橋を渡りきって2つ目の信号を曲がる通りが臨港線と呼ばれる道路です。その交差点の北西角にあるのが“白鹿クラシック”。この辺は有名な酒造の街であり、大手酒造メーカと、そこが経営する博物館やレストランが多数あります。その一つが、この白鹿クラシック。ランチもあるし、自慢の創作料理も美味しい。ちょっと高いけどね。お土産コーナーでは試飲も出来るし、ここでしか買えない御酒も売っています。この白鹿クラシックには絶対行ってみよう!その向かいにはユニクロもあるので、11月の季節の変わり目には便利。フリースも売っているし、今なら¥2,900のパンツを2本買うと¥4,990。この臨港線をもう50m西に進むと北側に“東鶴”という酒屋さんがあります。酒が安い。レース前半の成績が悪く、飲まないとやっていられない、という風になったら ここに買いに来ましょう。この夏に店が改装されて、二階はオシャレなレストランになっています。ここでもランチが楽しめます。美味しいパンは食べ放題。数種類から選べるパスタランチがボリュームもあり、オススメ。この東鶴の角の北に曲がると、ハーバーから一番近いホームセンター“コーナン”があります。西宮近辺を本拠地とするホームセンターチェーンです。品揃えは最高。学生の陸待ちの諸君は、ここの場所を調べておきましょう。

臨港線を更に西に進むと、“ウェルシア(ドラッグストア)”、“カルビ一番屋(焼き肉)”等のある小さなモールがあります。ここにはブックオフもあるので、宿舎で暇過ぎたら、マンガの古本を買いに来ても良いでしょう。しかしこの辺は、私の家と非常に近い為に、立ち読みしている私と出会うかもしれません。余り近づかないように。

臨港線を逆に東に進むと、“マルナカ”という大きなスーパーがあります。ここは夜10:00まで営業しているので便利。しかもこの辺では一番安い。2階にはチケットショップのあるので、帰りの新幹線チケットを買う方は、ここに立ち寄っても良いかもしれません。この近くには全皿100円の“くら寿司”もあります。家族連れで観戦に来られたお父さんは、ここで食事を取ると出費が制限できるかも。またこの横には選手に一番のオススメ“やまとの湯”というスーパー銭湯があります。疲れた体を癒すには、ゆっくりお風呂に入るのが一番。一回の入浴が平日¥700、土日祝日が¥750と、ちょっと高いですが、会員になると¥100安くなります。一人が会員になれば、何人分でも会員価格で入浴券を買えるので、まずは誰か一人が会員になりましょう。回数券もあるので、人数に合わせてチケットの買い方を考えましょう。下駄箱に¥100必要ですが、帰るときにはちゃんと返ってくるのでご心配なく。

臨港線を更に東に進んで行くと、今年の話題の中心であった甲子園球場の近くに出てきます。ご存知、星野阪神タイガースのホームグラウンドです。廻りにお土産屋さんもあるので、観光のひとつにどうぞ。

ハーバーから真っ直ぐ北に進めば、西宮えびす神社もあります。正月10日の十日恵比寿で有名なところです。早朝に門を開けて、快足自慢の男達が走って境内まで競い合ったり、マグロにお賽銭を埋め込む風景を、テレビのニュースでみたことがあるでしょう。それをやっているところです。

ハーバー近辺の、ほんの一部をお伝え致しました。この他にも、夢の街 西宮には色々な見所があります。レースだけを見るのでは勿体無い。最近、卒業してから何年か経ち、ヨットから距離が空いてしまったOBの皆さん、ちょっとインカレに立ち寄ってみませんか。ちなみに、新西宮ヨットハーバーからは、ユニバーサルスタジオまで車で約15分。家族サービスも同時に出来ます。

久しぶりにレースを見たら、久しぶりにヨットに乗ってみたくなるでしょう。そんなときは、どうぞスナイプに。

学生の皆さんも、レースだけでなく、海を眺めて、街を歩いて、人に出会って、泣いて、笑って、思いっきりインカレを楽しんで下さい。

西宮は良い場所です。海の色以外は。

以上