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徒然なるままに〜

<第11回>準備

 

『さあ、もうすぐレースだ。レースに出る為に準備しよう!レースに勝つ為に準備しよう!』と言う訳で、又もや原稿が遅くなってしまいまいましたが、第十一回目は“準備”について。

 

  大学体育会ヨット部に所属する皆さんは、そろそろ全日本インカレに向けての地方予選の時期でしょう。目標は、予選突破・全日本インカレ入賞・全日本インカレ優勝・団体は無理だから個人成績でトップ!等々、クラブや個人によって色々ちがうと思います。しかしながら、目標は違っても大事なレースで全力を尽くしたいという気持ちは、何ら変わらないでしょう。大事なレースで目標を達成できるか、練習の成果を100%出し切れるかは、事前の準備に掛かっていると言っても過言ではありません。

私がしている大事な国内レース時の準備

@大会(遠征)に行く前

床屋さんに行って、髪を切る。

前髪が目に入らないくらいまで短く切ってもらいます。私はレース中には帽子をかぶりません。視界が狭くなってしまうのが嫌なのです。高校生のとき、帽子をかぶって出場したら結果が悪かったので、それ以来、練習では帽子を被っても、本番では被りません。ですから、前髪が長いと邪魔なんです。坊ちゃん刈りみたいになって恥ずかしいですが、レースに勝つ為には仕方がありません。

潮汐表を準備する。

まずレース海面近くのレース期間の潮汐表を入手します。大会運営の方にもらったり、インターネットで探したり…。その潮汐表を元に、満潮干潮時刻・干満潮位差をパッと見て分かるような艇に張り付ける為のシートをエクセルで作ります。潮汐表と一緒に海図も入手して、水深や地形を見て潮の流れる様を想像したりもします。日本海や太平洋でのレースでは余り意味が無いかもしれませんが(湖では当然意味なし)、瀬戸内でのレースでは何かと役に立ちます。

 

A大会(遠征)に必ず持って行くもの

ビタミンの錠剤:疲れを癒す為

カルシウムの錠剤:イライラしない為

爪切り、耳カキ、綿棒、毛抜き:遠征先で快適に過ごす為

テーピング(太・細):指用の細いのと腕脚等用の太いの。怪我や捻挫をしたときの為

テーピングの本:テーピングを持って行っても、テーピングの仕方を知らない為

エアサロンパス:強制的に筋肉疲労を癒す為

シップ:歳だから、エアサロンパスだけで効かない時がある為

正露丸・胃腸薬:成績が悪いとストレス解消に食べ過ぎる為

日焼け止め:美白には手遅れですが、日焼けによる疲れを減らす為

マンガ:心のオアシス

ルールブック:覚えていないから

クラスルールブック:同上

その年の練習日誌:レースまでの努力の記録を読み直し、気持ちを高める為

健康保険証コピー:修学旅行の必需品

 

Bレース前、レース中にすること

帆走指示書を読む

勝つセーラーは必ずといって良いほど、レース前に帆走指示書を熟読します。基本中の基本です。

レースの3日前に爪を切る。

私は不器用です。レース前日やレース期間中に爪を切って、深爪をしたくない。だからレースの2〜3日前に爪を切ります。

朝はランニングか散歩

遠征先では、皆が起きる30分前に起きて、軽いジョギングか散歩をします。スポーツマンっぽいから。大体は、レース前日まではジョギング、レース当日からは散歩、といった感じです。

夜はゆっくりお風呂とストレッチ

その日の疲れを取る為に、長めにお風呂に入って、ストレッチをします。レース期間中は、ストレッチの後に「臭〜い」という周囲の苦情を無視してエアサロンパスを体中に振りまきます。そして寝る前にビタミンとカルシウムの錠剤を摂取して、21〜22時頃にはバク睡に入ります。

アラームセット

翌日の満潮時刻、干潮時刻を腕時計のアラームにセットします。これにより、レースの最中に忘れがちな干満潮の時刻に気付くことが出来ます。ですが、アラームの音に気付かないときの方が多いんですよね〜。

翌日の持って行くもの準備

寝る前に必ず翌日の服や持って行くものを準備しておきます。朝にバタバタしない為。

  艇や備品等の準備については、特に皆さんと違うことをしているとは思えないので書きません。長くなるし。私は上記のような感じで、身体のケアを中心に、万全の状態でレースに挑めるように準備をしていきます。身体が万全でないと、心理面にも影響してきますから。簡単なことばかりかもしれませんが、普段の生活では非常に面倒くさがり屋の私にとって、これを全部実行するというのは大変なことなのです。

  今現在、私達ペアも今年の世界選手権に向けて準備を進めています。国内のレースとは準備する項目の数がべら棒に違います。しかもそれらが面倒くさい。チャーター艇・宿・航空券の確保、現地の気象情報の入手、レース海面や遠征地の街の情報、日本食のレストランはあるのか、備品の購入できるマリンショップはあるのか。確保できたチャーター艇の状況と現地の情報により、持参する備品を決定し、それを飛行機持込みの制限重量内に納める様工夫しなくてはなりません。しかも面倒くさいことはクルーの人に任せきりなので、クルーに怒られる準備をしておかなくてはなりません。

  日頃の海上練習や陸上でのトレーニングも準備の一つです。レースに勝つ為に必要なもの(技術・体力・精神力)を準備する。上スタートをしたい時に、上スタートが出来るように準備する。アビームで先行艇を抜きたい時に、抜けるように準備する。レース本番でジブリーダの何番目を使うか、乗艇位置は何処に乗るか、ヒールは何処まで起こすか、日頃の練習から準備しておく。風速8m/sのコンディションで上マークまで20分間掛かる時に、クリアな思考とメイントリムとハイクアウト姿勢を20分間維持できるように準備する。すべてのことが勝つ為の準備です。

  大事なレースで実力を発揮する為に一番重要なのは、心の準備だと私は考えています。『勝つ為に必要なことを手抜きすることなく全てを行う。レース前も、レース中も、レース後も。』その決心と覚悟を決めること、それが勝つ為の最初の準備だと思っています。

  あなたは、準備が出来ましたか?

 

【付録】〜セール広島に行ってきました〜

  6月7日()〜8日()の2日間、セール広島というレースに参加させて頂きました。昨年も出たので、今回で2回目になります。今年も中四国地方の学生を中心に、中国・中部・琵琶湖の実業団選手が参加されました。微風を中心にして6レース実施されましたが、優勝はワッカーNSCEの安部・山近組、2位はTOYOBOの吉岡・西口組。私達ペアの結果は11位。残念無念。全レースにおいてトップ集団に絡むことなく、悪いところで安定したスコアでした。私の敗因はスタートの消極性と夜の飲みすぎ。優勝、準優勝チームと一緒に飲んでいたので、理由にならないのですが…。

  安部・山近組は終始安定したスコアで、ずっと総合トップを守っていた吉岡・西口組をシリーズ後半で逆転して優勝を決めました。レグを重ねる毎に順位を確実に上げていく安部・山近組の走りはすばらしかったです。惜しくも準優勝となった吉岡・西口組も、クルーの西口選手が470スキッパーからスナイプに転向し、今のペアを組んで丁度1年が経過しました。チャーター艇での参加でしたが、不慣れなボートでも技術さえあれば上位をキープ出来るということを証明してくれました。吉岡選手は学生時代にキャプテンとして全日本インカレ両クラス完全優勝を果たした実績を持っています。チャーターシステムの導入されている全日本インカレを目指す選手達には是非お手本にしてもらいたいものですね。ちなみに私は同じチャーター艇でも何のお手本も示すことが出来ず、招待選手として参加しながらも講習会ではツマラナイ事ばかり喋って時間を浪費してしまい、まったくもってゴメンナサイです。

  しかしながら、敢えて私はこの敗北を自慢に思います。私は敗北の数に自信を持っています。私は全日本スナイプに3回優勝しています(自慢)。ですが、その他に優勝したレースは、高校時の県の新人戦(参加4艇くらい)と国体予選(同じく参加4艇くらい)、インターハイ中国地方予選(参加12艇くらい)。大学では4年時インカレ個戦の予選だけ。大学を卒業してからは全日本スナイプを除けば、琵琶湖スナイプ選手権で2回(琵琶湖スナイプは学生の時を含めると12回出場)。それだけです。それ以外のレース全てで、私はコトゴトク敗北しています。

  学生の皆さんと比べると、勝利の経験は数回多いかもしれません。しかしながら、敗北の経験は皆さんの何十倍もしています。負ける度に悔しくて、怒りと闘志が湧いてきます。この敗北があるから、今まで競技が続けられていると思っています。1回や2回の敗北で、落込んだり、自分自身の才能に疑問を感じてしまうのは、余りに軽率で、余りに愚かなことだと思います。

  さあ!今回悔しい思いをした人達!その気持ちをバネに、私と一緒に『打倒 安部・山近組!』で頑張りましょう。(決して私なんかを怒りと闘志の矛先にしないようにお願いします。)